発達障害の子の他害行動の背景

新一年生の女の子
他害をしてしまうお子さんをもつ保護者からの相談です。
Aちゃんは不安が強く、自分が思い描いたストーリー通りに大人が対応しないと不適切行動をします。
スタッフにも飛び蹴りの真似をしたりかけている眼鏡を取り投げたり
と激しい行動が見られます。
ふざけて人の上に乗り大笑いの表情をしてみたり
普段はふざけて大笑いの表情を見せます。
ここで「表情を見せる」という表現を使っているのは
彼女自身が本当に面白いと思って笑っているかどうかは別問題だからです。
つまり、彼女の笑っている表情や行動は自分が面白いと思ってやっているのではなく
どうしていいかわからず、知っている行動を表出しているだけという事があるからです。
それは後に分かります。

私たちはお子さんのその行動について怒ったり、笑ったりは決してしません。
静かに対応するだけです。
しかし、その静かに対応が彼女を不安にさせていることが解りました。

彼女は園時代女の子3人の園であとは男の子。
先生つまり大人とのコミュニケーションはふざけて笑うか怒られるかどちらかだったようです。
先ほど「知っている行動を表出しているだけ」といったのはここに行動の背景があったからです。

彼女は園時代に周囲の行動を見て他者とのコミュニケーションの方法として身に着けていたからです。

私たちは彼女と接する時に笑ったり怒ったり、大きな声を出したりはしません。
保護者との面談で彼女の様子をお話しをして普段どのように過ごしているのか等彼女の日常生活の聞き取りを行いました。

「ここは静かだからかな?」と保護者が以外な事を話されました。

「どういうことですか?他のデイや学校では違いますか?」と聞くと
保護者は「先生も子ども達ももっと騒がしいです。。。」と仰いました。

子どもが騒がしいのは分かりますが・・先生が騒がしい?とは???

お話を伺うと、子どもがさわいでいるのを抑制するために更に先生が大きな声で怒っているという事が解りました。
つまり、子どもは怒られる事で行動をストップさせるパターンが身についているようなのです。

ふざけるのは私たちに笑ってほしいからのようです。
それなら彼女の問題行動は「要求」です。

彼女は静かな空間で過ごす事を知らない、ふざけても怒らない、笑わない大人とのパターンに戸惑い、それで不安になり、他に知っている行動の一つの他害が出ていたようです

保護者はあまり問題視されてなかったようですが、今のうちに不適切な行動を変えていかないと更に問題は大きくなってしまいます。

彼女はまだまだマッチングすら解らないので様々な事をすり合わせていくことがまず必要です。
そして静かに過ごしかたや人とのやり取りの仕方を教えていく必要があります。

幸い、行動を視覚化してあげる事で物事の順番は理解できるようになりました。
その中で、選択することや休みをとることを教えていく事で
対応を学んでいきました。

3ケ月後には暴力行動も消えて、スタッフとのやり取りも静かに出来るようになり、
3年生になる頃には学校のクラスの子と交渉を身に着ける事が出来るようになりました。