発達障害とは

発達障害」の名前はよく聞くけど、
      どんな子が発達障害なのか?

どういう子だと発達障害と診断されるのかよくわからない方も多いと思います。
そもそも発達障害の括りは何が元になっているのか?
そしてその中でも自閉症やADHDなど、カテゴリー分けはどのようにされているのか?
「最初はADHDだって言われたけど、就学後広汎性発達障害になった」等、
途中で診断名が変わったり、広汎性発達障害→自閉スペクトラム症など
そもそもの名称自体が変わったりする事を不思議に思われている方もいるのではないでしょうか?

発達障害の診断は、「ICD-10」やアメリカ精神医学会の『DSM-5』、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)という心理検査などが用いられ問診などと合わせてドクターによって診断をされます。

現在、日本での発達障害の定義は「発達障害者支援法」により記されていますが、
そのもととなっているのはWHO1990年に採択された「ICD-10」です。

ICD-10」の中では「発達障害」という言葉は広域を表す言葉で、
その下位分類としてASDADHDLD(学習障害)トゥレット症候群、
吃音(症)緘黙や知的障害のある人も含まれています。

しかし、2018年にWHOによって最新の医学的知見が記されたICD-11が公表され
2022年には新基準として「ICD-11」の内容に代わります。

この「ICD-11」には日本の医学の専門家たちも多く携わっており、
発達障害についても様々な項目の分類や名称などが変更されます。https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000211217.html (厚生労働省)

これまで広汎性発達障害とされていた名称は「自閉スペクトラム症」となり
下位分類なども知的発達症や機能的言語の状態に応じたものに見直されています。

性同一性障害なども名称が変更され(日本語訳がまだ正式に決められていない)
分類も「精神疾患」から外され、「性の健康に関連する状態」にカテゴライズされます。

つまり、様々なデータや研究、医学の進歩に伴いWHOが作成するICDにより
名称やカテゴリーが変わるということです。
日本も数年後ICD-11に沿い発達障害支援法の中の名称などの内容が変化することでしょう。

※ICDとはWHOが作成する疾患の分類です。

異なる国や地域、時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、
解釈及び比較を行い世界保健機関憲章に基づき作成されます。 (厚生労働省)

発達障害の原因

現在、発達障害原因は特定されていません。
遺伝もあるようですが特定された単一での原因となる遺伝子はまだわかっていません。
遺伝子変異なども影響があるとされていますし
育ちの環境による愛着障害にも似たような特性が見られる事もあり
まだまだ解明に至っていません。
ドクターによっても診断が違うこともあります。

発達障害は成長の仕方もそれぞれ違うため
実はこれが「典型的な発達障害の子」という見本的なものはないのです。

発達障害の子どもは
  • 典型的に発達する「部分」
  • 典型的よりゆっくり発達する「部分」
  • 典型的より早く発達する「部分」
  • 発達しない「部分」

        が混在している「子ども」です。

そしてそれぞれの部分には、ある子とない子もいますし
その部分についても多い少ない等の割合も違います。
つまり典型的な発達のグラデーションがあるとすると
そのグラデーションが様々でばらつきがある一人一人違った「子ども」だということなのです。

よく「グレーゾーン」という言葉が使われますが、「診断のある子」を「クロ」とする場合
症状は見られるが発達テスト(例:田中ビネー、WISKなど)の結果やドクターの診察など
総合的に見ても診断につながらない子を言います。

しかし「軽い」ということではなく、症状はみられるので本人の困り感は周囲から理解されない分
支援を得られず、わがまま、育て方が悪いなどの誤解を受けやすく、本人や家族にとっては決して
「軽い」で片付けられる訳ではありません。

最近多く聞かれるのが「大人の発達障害」ですが、これは大人になってから発達障害になったのではなく
子どものころから困り感はあったが、周囲に気づかれない、もしくは支援を受けられないまま成長し
社会に出てから生きづらさに本人が気付き医療機関に行き診断が下りるケースです。

幼い頃から周囲から理解されず、自尊感情などが低くなってしまった場合、
二次障害により鬱や不安障害、依存症など発達障害の人は精神疾患を合併するリスクが高いため
日常生活の中で何か困り感がある場合は一度専門医にかかることがお勧めです。

子どもの場合は児童相談所、療育センターなど地方自治体が設置しており
育児相談などの福祉サービスを受けることができます。
大人であれば発達障害者支援センター、保健所や精神保健福祉センターでも情報をもらうことができます。